Windows Terminalは、コマンド プロンプト、PowerShell、WSL経由のbashなど、コマンドラインアプリケーションを同じ画面で扱うためのホストアプリです。複数のタブやペイン、プロファイルを使えるため、Windows側の作業とWSL側の作業を切り替える場面に向いています。仕事用に整えるなら、色や背景より先に、既定のプロファイル、開始ディレクトリ、管理者権限の扱いを決めると迷いにくくなります。
導入後にまず揃える設定
Windows TerminalはMicrosoft Storeから導入できます。Microsoft Storeを利用できない場合は、GitHubのリリースからビルドを入手できます。ただし、GitHubからインストールした場合は新しいバージョンへ自動更新されません。winget、Chocolatey、Scoopを使う方法も案内されていますが、導入経路によってsettings.jsonの保存場所が変わるため、後で設定を直接編集する場合は注意が必要です。
起動したら、設定画面の「Startup」で「Default terminal application」をWindows Terminalに変更できます。この機能は、Windows 11の全バージョンと、2023年5月23日公開のKB5026435以降を適用したWindows 10 22H2で利用できます。PowerShellやコマンド プロンプトなどをWindows Terminalで開く運用に揃えたい場合は、最初にここを設定します。
同じ「Startup」にある「Default profile」では、起動直後に開くプロファイルを選べます。インストール直後はPowerShellが既定プロファイルです。WSLディストリビューションや複数バージョンのPowerShellがインストールされている環境では、プロファイルが自動作成される場合もあります。Windows側のコマンドを中心に使うならPowerShell、Linux側のツールを中心に使うなら対象のWSLプロファイルを選ぶ、という決め方が実務的です。
タブ、ペイン、コマンド パレットを使い分ける
既定プロファイルの新しいタブは「Ctrl+Shift+T」または「+」ボタンで開けます。「+」の横の矢印からは、別のプロファイルを選択できます。タブを作業単位、ペインを同じ作業内の別シェルとして使うと、構成を整理しやすくなります。
ペインは「Alt+Shift++」で縦方向、「Alt+Shift+-」で横方向に分割できます。「Alt+Shift+D」では、現在フォーカスしているプロファイルの複製ペインを開けます。例えば、片方のペインでコマンドを実行し、もう片方で別のシェルを操作する構成が可能です。ただし、ペインを増やすほど表示内容の把握は難しくなります。最初は1タブに2ペイン程度にして、必要な作業だけを残す運用が扱いやすいでしょう。
ショートカットを覚えきれない場合は、「Ctrl+Shift+P」でコマンド パレットを開きます。Windows Terminalの多くの機能を検索して実行できるため、設定を始めたばかりの段階でも使いやすい入口です。ショートカットは変更でき、コピーや新しいタブなどを自分の操作に合わせられます。既定のコピーは「Ctrl+Shift+C」、新しいタブは「Ctrl+Shift+T」、タブの切り替えは「Ctrl+Tab」です。
settings.jsonでプロファイルを整理する
設定画面で「Settings」を選ぶ際にShiftキーを押すと、settings.jsonを既定のテキストエディターで開けます。保存場所は導入形態によって異なります。安定版では通常、次のパスです。
%LOCALAPPDATA%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json
プレビュー版は次の場所です。
%LOCALAPPDATA%\Packages\Microsoft.WindowsTerminalPreview_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json
ScoopやChocolateyなどのアンパッケージ版では、次の場所が案内されています。
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows Terminal\settings.json
設定は、全プロファイルに適用する「defaults」と、個別プロファイルを並べる「list」で構成します。個別プロファイルでは、表示名、実行するコマンド、開始ディレクトリ、タブタイトル、管理者としての起動、ドロップダウンからの非表示などを指定できます。例えば、PowerShellをDocuments配下の作業フォルダーから開く設定は次の形です。
{
"name": "仕事用 PowerShell",
"commandline": "powershell.exe",
"startingDirectory": "%USERPROFILE%/Documents/Work"
}
commandlineを省略した場合の既定値はcmd.exeです。startingDirectoryを指定しない場合の既定値は%USERPROFILE%ですが、値を明示的にnullにした場合は、Terminalの起動元によって結果が変わります。Startメニューやwt.exeをどこから実行したかで開始場所が変わるため、作業フォルダーを固定したいプロファイルではパスを指定する方が切り分けやすくなります。
WindowsのパスをJSONに書く場合、バックスラッシュはエスケープします。
"startingDirectory": "C:\\Users\\USERNAME\\Documents\\Work"
WSLの開始場所は、settings.jsonでは次の形式で指定できます。
"startingDirectory": "\\\\wsl$\\\\ディストリビューション名\\\\home\\\\ユーザー名"
設定画面では、//wsl.localhost/ディストリビューション名/home/ユーザー名形式で入力できます。Windows側のC:\パスとWSL側のパスは別物なので、プロファイル名に「Windows」「WSL」などの区別を入れると、開始場所の取り違えを減らせます。
管理者起動とプロファイル順序
管理者として起動するプロファイルには、elevateをtrueに設定できます。管理者権限のタブと通常権限のタブは、同じTerminalウィンドウ内に共存できません。通常作業用まで管理者起動にせず、必要なプロファイルだけに設定する構成が分かりやすいでしょう。profiles.defaultsにelevateを置くと全プロファイルへ影響するため、まずは個別指定から始める方が安全です。
list内のプロファイル順は、プロファイルのインデックス番号とショートカットに関係します。先頭のプロファイルはインデックス1となり、「Ctrl+Shift+1」に割り当てられます。順番を入れ替えた後は、ショートカットと表示名の対応も見直します。
使わないプロファイルは削除せず、hidden: trueでドロップダウンから隠せます。自動作成されたプロファイルを設定ファイルに残したまま、普段の選択肢だけを絞りたい場合に使える方法です。
定型レイアウトをコマンドから起動する
Windows Terminalは、コマンドライン引数でプロファイル、タブ、ペイン、開始フォルダーなどを指定できます。Microsoft Learnに掲載されている例では、PowerShellから次のコマンドを実行し、Command Prompt、Windows PowerShell、WSLをペインに配置します。
wt -p "Command Prompt" `; split-pane -p "Windows PowerShell" `; split-pane -H wsl.exe
毎回同じ構成を使う監視作業や開発作業では便利ですが、プロファイル名を変更するとコマンド側の指定も合わせる必要があります。設定を整理した後に起動できなくなった場合は、まずプロファイルの表示名と引数の名前が一致しているかを見ます。
まとめ:どこまで設定するかを決める
Windows Terminalは、PowerShell、コマンド プロンプト、WSLなど複数のコマンドライン環境を一つの画面で扱いたい人に向いています。単一のシェルを一時的に開くだけなら、既定プロファイルの選択だけで十分で、JSON編集や定型ペインまで急いで導入する必要はありません。
一方、Windows側とWSL側を行き来する作業では、プロファイル名と開始ディレクトリを分けるだけでも、実行場所の混同を抑えやすくなります。必要に応じて管理者用プロファイル、非表示設定、コマンドライン起動を追加する順番が無理のない進め方です。Windows Terminalのプロファイルを仕事用に整理する設定と注意点は、外観の変更ではなく、シェル、作業場所、権限を選び間違えないための運用設計として考えると判断しやすくなります。
筆者の環境で実際に確認した結果
確認日:2026年10月14日/環境:Windows 11 Home(ビルド26300)、Windows PowerShell 5.1、Python 3.14
筆者の環境では、Microsoft Store版の Windows Terminal 1.24.12741.0 が入っていました。設定ファイルは記事で紹介した安定版のパス %LOCALAPPDATA%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json に実在することを確認しています。なお、この環境にはPowerShell 7(pwsh)は入っておらず、既定で使えるのはWindows PowerShell 5.1でした。プロファイルにPowerShell 7が見当たらないときは、まずインストールされているかを確認してください。
